Kiss me!*9

玲唯  2010-12-15投稿
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 その日の放課後、私とナナミな教室のベランダにいた。


 私はベランダの壁に頬杖をついて、グラウンドを眺めながらため息をついた。


「何か最近疲れる」

「えー、何で?」

「あいつのせいで」

「ああ。ケイタくんね」


 壁にもたれていたナナミは、私と同じ体勢になってグラウンドを見た。


「いいじゃん、好かれてて」

「よくないよ。あいつむかつくし」

「そーかなあ……」


 そうだよ。


 いきなりキスするし、自分勝手だし。


 本当、嫌な奴。


「あ。あれケイタくんじゃない?」


 ナナミが指さす方向にはサッカー部がいて、その中にはナナミが言ったようにケイタの姿があった。


 部活やってたんだ、あいつ。


 シュート練習をしていたケイタが蹴ったボールは、ゴール横のフレームに当たって私たちの下に転がってくる。


 こっちに向かってくるケイタを見て、私が隠れようとした時だった。


 ナナミは私の後ろに回って私の右腕を掴んだ。


「ケイタくーん!」


 ナナミはそう言って、私の腕を上げて大きく横に振った。


 ナナミの声に気づいたケイタは、私の方を見て笑いながら手を振りかえしてくる。


「や、止めてよ!」


 私がナナミの手を慌てて振り払うと、ナナミは私の後ろから出てきて私の横に立った。


「ユキが頑張って、だってさ!」

「そんな事言ってないでしょ!」


 ナナミの馬鹿。


 グラウンドにいる人、皆こっち見てるじゃん。


 私は恥ずかしくてしょうがなかった。


 ケイタはこっちを見ながらにこにこしている。


 私はケイタに向かって、早く行けって手で合図した。


 ケイタは小さく手を振って、ボールを蹴りながら走っていった。


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