騎手・那口小夜の夢と現実と日常 5

亜希  2010-12-18投稿
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土曜日、時刻は10時30分。遊佐競馬場は、第3競走に出走する10頭が、パドックを周回しています。

ドラムンベースは1番の白いゼッケンを鞍のところに着け、町田さんを引っ張る様にして、勢いよく歩いてます。

このレース、専門紙の「勝馬ニュース」によると、4人の記者の予想の中で、7番のディアフレンドに、二重丸の印が3つ付いていて、調教師のコメントも{このクラスは通過点。今回も期待したい。}とあり、寸評欄にも【軸堅い】と書かれています。

一方、小夜のドラムンベースは、僅かに丸の印がが1つと、三角の印が1個だけ付いてました。紺野調教師のコメントは{中間も至って順調です。先手が取れればもう少しやれてもいいはず。}とあり、寸評欄には【逃げても?】とありました。

パドック内にあるモニターには、先程から単勝のオッズが表示されています。

それによると、新聞紙面の予想通り、7番のディアフレンズが、3連勝中という事と、小田原騎手が騎乗するという事もあってか、単勝1.4倍の断然の1番人気に推されています。

一方、小夜のドラムンベースは、予想通りの人気薄で、単勝57倍の8番人気です( ̄_ ̄)

やがて、パドック内の小屋から10人の騎手が出て来て一列に整列し、号令と共に一礼して、自分の乗る馬に駆け寄って来ました。

町田さんは、1番枠の白い帽子をかぶった小夜が来るのを待って、一言

「小夜、頼んだぞ( ̄o ̄)」

と言いました。

小夜は、「まぁ任せておいて(^^)」て言い、町田さんに片足を持ってもらい、ドラの上に乗りました。

騎手を背にした10頭は、パドックを1周した後、側道を通って、本馬場へと出ていきます。

軽快なマーチにのって、各馬がコースに出てきました。小夜とドラも本馬場に出ると、コースを右へと駆けていきます。

小夜は、
『お、なんかいー感じだなぁ。ひょっとしたら本当に勝っちゃったりして(^o^)』
と、思っていました。

やがて、小夜はコースをほぼ1周すると、スターティングゲートの後ろ、直線の残り100メートルの標識の辺りで、輪乗りしている各馬の中に混ざりました。

場内には《遊佐競馬、第3レース、発売締め切り3分前です…》というアナウンスが流れています。発走までもうすぐです…。



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