俺に親なんていない。
スナックで働いていた母親は小さい頃に出て行った。
父親は経営していた会社が倒産して当時小学生だった俺を置いて自殺した。
その後、俺は、親戚をたらい回しにされながらも中学を卒業し、親戚の家を離れ、アルバイトをしながらも高校を卒業し、有名大学も卒業した。
幸せになりたかった。
幸せになって、俺を不幸にした母親と父親を見返してやりたかった。
愛情を知らない俺は、本当の幸せの意味なんて知らなかった。
たくさん勉強して、誰もがうらやむ大金持ちになる…そしたら、きっと幸せに手が届く…そう思っていた。