「副社長!!今日の夜ヒマですかぁ?」
「ん?」
このコは確か社長秘書の永峯…なんなんだ?
「お暇なら今夜どこかでお食事でも…」
“副社長顔もなかなかいいし、お金あるし、次期社長の噂もあるし…今のうちに手にいれとかなきゃ…”
なんだ…今の声は…
突然、どこからか誰かの声がかすかに聞こえてきた。
いや…空耳か…
「副社長…?」
“断るわけないよね…私に落とせない男なんているはずないもの”
!?
また聞こえた…
今度ははっきりと…
まるで目の前のこの女の心の声がもれてきているようで、俺はぞっとしてしまった。
ヒトを疑って生きてきたあまりにとうとう自分が利用されてるなんて思いこむようになったか…俺の心もすっかり汚れたもんだ…
その時は、ただ、そんなことを思っていた。