金曜日、午後の授業中。
明日はクラブかー。
私は頭を抱えてハァとため息をつく。
……ツンツン
突然背中を突かれ、ガバッと顔を上げると教卓の先生と目が合った。
「槇原さん?前に出てこの問題解いてください。」
先生はいつの間にか黒板に問題を書いていた。
「…あ、ハイ。」
私は黒板の前に立ち、問題を解き始めた。簡単なやつでよかった。
ん?待てよ…
さっき背中突いたのって…もしかして…
………ビン底眼鏡??
私は背筋がゾッとして、手に力が入りチョークをバキッと折ってしまった。
やっぱり私は男嫌いで、潔癖なんだ。
ますますクラブに行きたくなくなってきた。
やだなー…
* * * * * * * * * * *
土曜の晩。
お姉ちゃんと鏡の前でファッションチェックをしている。
お姉ちゃんは黒のタートルネックにグレーのロングカーディガンを羽織り、デニムのミニスカートを着て、黒タイツとピンヒール。髪はさっきコテで巻いた。
私は紺のタートルネックにノーカラージャケットを羽織り、デニムのスキニーパンツにややヒールのあるブーツ。髪は後ろで束ねてスパンコールのついたカチューシャを付けた。
化粧もして私は完全に高校生に見えなくなった。