店内は広くはないが狭くもない。って、初クラブだから普通を知らないけど。
入り口付近にバーがあり、フロアが広がり、奥に少し高めに作られたステージがあり、そこにターンテーブルやいろんな機材が置いてある。
近づかないと相手の顔がわからないくらい薄暗い。たまに回転するライトがフロア内を駆け回るように照らす。
タバコとアルコールのニオイがするが、アロマっぽい匂いがそれらを優しく包んでいる。
バーのところに何人か腰掛けていて、他の人はフロアに降りて踊ったり体を揺らしたりして楽しんでいる。
「はい、グレープフルーツ。」と、お姉ちゃんがジュースをくれた。
お姉ちゃんはカクテルのカシスオレンジを選んでいた。
ドンッドン ドンッドン
みんなアルコールが入り徐々にハイテンションになっていく。
ダンスフロアではストリートダンサーらしき人たちが即興で踊ったり、ブース内で曲をかけてるDJもスクラッチかけたりして盛り上げている。
私は壁ぎわでそれを眺めながら「もうちょっと落ち着いた曲が好きだな」と思いながらジュースをちびちび飲んだ。
どれくらい時間が経っただろう。盛り上がりが絶頂になりつつあった。
「あ!将樹!」