将樹さんがブースへ入るとフロアがさらにワッと盛り上がった。
ブース内はレコードや機材があるから少し明るいスタンドライトがついている。
将樹さんはキャップ帽を被り、Tシャツにパーカー、デニムの裾を少しめくり上げている。キャップからのぞく顔は男らしく、いわゆるイケメンさんだ。
耳にヘッドホンを当てながらアップテンポな曲を流す。たまにフロアを見てニカッと笑っている。
「かっこいいね将樹さん」
お姉ちゃんに言うと、お姉ちゃんはすっごく不機嫌そうな顔で将樹さんを睨んでいる。
「……何あれ」
お姉ちゃんの視線の先を見ると、将樹さんの所に徐々に女性たちが集まりはじめる。
「将樹、鼻の下のびてる。ムカつく。」
いや、あれはどちらかと言うと困ってるように見えるけど…。
将樹さんは女性からお酒らしきものを手渡されようとしているが、やんわり笑顔で断ってる。
「あとで懲らしめる!」と言いながらお姉ちゃんはまたバーへ行きお酒を注文している。
DJってモテんだね。
お姉ちゃんがヤキモチ妬くってわかってたから将樹さん拒否ってたのか…。
将樹さん、可哀想に…。