それはJAZZとHIP HOPを融合させたような曲で、ピアノのキレイなメロディーが気持ちいい。
うまく表現できないが、例えるなら真冬の星空が瞬いている様子を音楽にしたような感じ。
ハープの音がキラキラと輝いている星屑の音のようで、すごくロマンチックな気持ちにしてくれる。
ダンスフロアの人たちも心癒されているのか、ゆっくり揺れたり、カップルは抱き合ったりしている。
すっかり私はこの曲に魅了されてうっとり目を閉じた。
ニット帽…あんた最高。
「な…子……、菜々子!」
お姉ちゃんに呼ばれガバッと頭を上げると、イベントは終わっていて、フロアは明るくなり、無機質なコンクリート打ちの壁があらわになっていた。さっきまでいたお客さんたちはほとんど帰ったみたいだ。
「…ごめん、寝ちゃった」
私が謝ると、
「菜々ちゃん、よく来てくれたね。ありがとう。」
お姉ちゃんの隣に将樹さんが立っていた。
「ちょっと片付け終わるまで待っててくれる?一緒に朝飯食べに行ってから送るよ。」
将樹さんが笑顔でそう言った。
どうやら私が寝ている間にお姉ちゃんのヤキモチの怒りを押さえることに成功したらしい。
スゴいぞ、将樹さん!