「余計なこと言わないでよ」
「いいじゃん別に」
「よくないよ。全く……」
すると笛の音がグラウンドから聞こえてきた。
どうやらサッカー部が校内試合をするみたいで、笛の音はその開始の合図だったみたい。
開始早々にボールを相手チームから奪ったケイタは、ディフェンスをかわしてゴール近くで仲間にパス。
そしてその勢いでゴール前まで走っていって、仲間からのパスでケイタはゴールを決めた。
その姿を見たとき、なんかケイタがかっこよく見えた。
私はしばらくケイタを目で追っていると、ナナミが私の肩をつついてくる。
ナナミの方を向くと、ナナミは私を見てにやにやしていた。
「何?」
「ケイタくんのこと見てたでしょ?」
「そ、そんなわけないじゃん!」
「嘘。絶対見てた!」
「ないない」
「照れるなよお!」
ナナミは私のわき腹に手をやってくすぐり始める。
私は身をよじりながらそれをかわして、教室の中を逃げ回った。
しばらく2人で教室中をぐるぐる回っていると、突然ナナミがあっと声を上げて立ち止まった。
「ねえ、明日一緒に遊ぼ! 気晴らしにさ」
「いいね。行こっか」
ナナミと遊びに行くの、久しぶりだなあ。
ナナミに彼氏ができてから、あまり2人で遊びに行かなくなったし。
日頃のことは全部忘れて、遊んでやろう。