ビン底眼鏡はやっぱり一人でいる。
私たちに気づいてないみたい。
……ホッ
私も気づかないフリしてバニラシェイクをすすりながら梨沙子と話す。
すると店内にガラの悪そうな5人組の男たちが入ってきた。
ダボッとした服装にキャップ帽を斜めに被り、歩くたびにガコガコと靴音が鳴る。
店内の人たちは彼らを見て一瞬緊張する。
彼らはグルっと店内を見回し、隅にいるビン底眼鏡を指差した。
……あ、ヤバ。
私は焦った。
梨沙子に言おうかと思ったが、気づかずにハンバーガーを食べている。
チラっと彼らを盗み見すると、まっすぐ隅の席に向かって歩き始めた。
ビン底眼鏡を囲むように彼らが椅子に腰掛けた。
彼らが何かをビン底眼鏡に言っている。でも会話の内容はまったく分からない。
どう見てもカツアゲされてるようにしか見えない。
10分くらい経った。
ガラの悪い彼らはガタガタと立ち上がり、店から出ていった。
カツアゲされなくて良かった…。目の前でクラスメイトがされてるの見たくないもんね。
私はホッと胸を撫で下ろし、ビン底眼鏡を横目で見た。
眼鏡を外し、片手で目頭を押さえてる。