sound of you 28

フラン子  2010-12-25投稿
閲覧数[290] 良い投票[0] 悪い投票[0]

「……これ」

それだけ言って綾川くんは何も言わない。

彼はしゃがんだままメモ紙を握って黙ってしまった。


怒ってしまったのかもしれない。

私は自分がついてしまった嘘をすごく後悔し、しゃがんだまま目を閉じた。


どれくらい沈黙していたのか分からない。


先に口を開いたのは綾川くんだった。


「…槇原さん。クラブとか行ったことある?」

怒ってるか分からない口調だ。

私はビクッとしながら、正直に頷いた。


「そっか。」

綾川くんは散らばった残りのペンを手早く集めペンケースにしまってくれた。

ゆっくり立ち上がると何事もなかったように帰る支度を再開した。


どうしよう、どうしよう


私は答えも出ないのに念仏のように「どうしよう」を頭の中で唱えていた。


綾川くんがDJのミツルだってこと知ってるよ、って今このタイミングで言うべき?
その前に騙してごめんって謝るべき?


頭はグチャグチャだ。


「…じゃ、俺さきに帰るね。」


何も聞かないまま綾川くんは教室を出ていった。


教室に取り残された私。

ボーっとする頭で必死に考える。

「…クラブのこと聞かれたってことは、…私がユキだって確かめたの?」



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 フラン子 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]
コルセット並の着圧!
モノ足りない筈なし


▲ページトップ