「えーと…、大した理由じゃないけど…。」
私は重大な秘密を明かされるような気になり目を輝かせた。
「………朝弱いから」
「へ?」
「夜遅くまでパソコンで曲いじりしてるから朝ギリギリまで寝てておしゃれに気を使う時間がない。」
「それだけ?」
「うん。コンタクト付ける時間すらない。」
拍子抜け…。
「あ、は…はははは」
私は期待し過ぎた自分がおかしくて笑った。
綾川くんもニカッと笑った。
あぁ、やっぱり眼鏡外して笑ってる顔見たい!
私は綾川くんに近づくと、何も言わずに眼鏡に手をかけた。
「うわ、ちょっ…」
綾川くん驚き、片手で目を覆った。
「見たい!」
「や、ちょっ…、なんか恥ずかしいんですけど。」
なぜか異常に恥ずかしがる綾川くんの腕をぐいっと無理矢理引っ張る。
そこには少し頭がボサついたミツルがいた。
「槇原さん…?」
ミツルと目が合う。
マジマジ見ていると、その瞳に吸い込まれそうな感覚になる。
自分の顔が赤くなってきてるのがわかる。
「わ、笑ってみて!」
恥ずかしさを紛らわすためにムチャぶりしてみた。