「どこ行く?」
お姉ちゃんと戸惑っていると、スタッフらしき人がきて、
「マサの彼女っしょ?特等席まだ空いてるからおいで。」と言った。
お姉ちゃんはガッツポーズした。
スタッフに付いていくと、ロフトっぽい所に案内された。
「ここなら揉みくちゃにされる心配ない。」
そう言いながらお姉ちゃんはコートを脱いでいる。
……ステージからは遠くなっちゃったな。
私は少し落ち込みながらお姉ちゃんと同じようにコートを脱ぐ。
しばらくすると将樹さんがロフトに上がってきて、キョロキョロしてる。
「将樹!こっち!」と、お姉ちゃんが手招きすると、将樹さんが気づいた。
「くわー、寒かった。外雪降りだしてた。」
将樹さんの頭に雪のあとなのか少し水滴がついてる。
それをお姉ちゃんがハンカチで拭いてあげている。
その恋人らしい行動に見ているこちらが恥ずかしくなり、ステージに目を向けた。
BGMが止まると会場のライトが消え、ステージの上だけ青く暗いライトがついてる。
すると、ビートボックスが流れだし、ステージの袖からマイクを口にあてた5人組の男たちが現れた。
……マックで綾川くんを囲んでた奴らだ!