会場が一気にワァーと盛り上がる。
ビートボックスをしながら5人組が定位置につくと、ステージ袖からプロレスのマスクを被った男が出てきた。
マスクマンはターンテーブルの奥に立つとヘッドホンを首にかけ片耳だけあてた。
会場は得体の知れないマスクマンにザワザワと騒つく。「誰?」と隣の客も連れの人と話してる。
マスクマンがターンテーブルにセットされたレコードに手をかけた。
するとビートボックスに合わせてマスクマンがスクラッチをし始めた。
騒ついていた会場が息を飲んだのがわかった。
将樹さんが「はっ」と参ったというふうに笑った。
お客さんたちもだんだんマスクマンの正体に気づき始めている。
5人組のうちの一人がスクラッチしているマスクマンに近付き、マスクに手をかける。
「MITSURU is in a Hoooooooouse!!」
一気にマスクを外すと、ミツルの顔が現れる。
わぁぁぁあああ!!!
待ってましたといわんばかりに会場が揺れだす。
スクラッチを止め、ミツルが片手を上げてオーディエンスに答える。
それと同時に「ドンッドン!」と大音量が流れだす。
私は頭の先まで鳥肌が立ってしまった。