5人組が次々とラップを繰り広げ、会場中が音楽に合わせて揺れている。
ステージの中心でミツルは少し頭を揺らしてリズムに乗ってる。
当たり前だが眼鏡はしておらず、マスクを被っていたため帽子も被ってない。
でも髪型はちゃんとセットされ立てられている。
冬だけどステージの上は暑いみたいで、黒いTシャツにベージュのハーフパンツ姿だ。腕にはいつもの腕時計の他にもいくつかミサンガのようなものが見える。
……カッコいい。
そう思った瞬間、すぐ後ろにいる女の人たちの会話が耳に入った。
「やっぱミツル最高!カッコいいっていうか、可愛い!!」
「あんたミツルのファン歴一番長いんじゃない?」
「もう、かれこれ3年?ヤバいね、あたし一途?」
きゃははは!と笑い合っている。
……そっか。
ミツルの良さ知ってるの私だけじゃないじゃん。
ミツルのこと3年も前から知ってるなんて、私なんかまだ1ヵ月くらいしか…
あまりの差にショックを受け、胸の奥がズキンとする。
目頭が熱くなる。
ステージ上のミツルに目をやると遠い存在なんだと改めて感じる。
……あ、ヤバい。
このままじゃ泣いちゃう…。