「行き先はどれも一緒なので、どうぞご安心を。」
「…行き先はどれも一緒?」
一人の女性が疑うように尋ねたところ、
「まぁ本当は、1台だけ死のエレベーターとなっております…。」
死のエレベーター。
まさに、自分の身を運に任せるロシアンルーレット。
「はい。もうここから、ゲームは始まっております。」
ざわつく百人。
「考える時間は1分。ゲームスタート!」
健太達も、何も見た目はかわらないエレベーターを観察しはじめた。
中に入ると、モニターが天井にあり、他のエレベーターの状況を見ることが出来る仕組みになっていた。
また、側面がガラス張りで隣のエレベーターの様子も見える。
「何番にした?」
健太は、杏に聞いてみた。
「3…にしようかな。」
杏は自身なさげに、真ん中の3番のエレベーターを選んだ。
「俺は5番にするつもり…。」
「何で?」
「だって…真ん中は見せしめのエレベーターとしては最適なんだよ。もし端っこが見せしめのエレベーターであったとしたら、もう片端のエレベーターを選んだ人は、見せしめの光景があまりガラス越しには見えない。おそらく全ての人に均等な恐怖感を与えるには、3番のエレベーターを死のエレベーターにするはずだ。」
健太の説得に杏は、
「…でも…もし逆だとしたら…。」
杏がつぶやいたその時!
「残り10秒です!お急ぎください!」
とアンドロイドが叫んだ。