騎手・那口小夜の夢と現実と日常 6

亜希  2010-12-27投稿
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場内には、第3競走の馬券の発売を締め切ったという旨のアナウンスが流れました。

しばらくして、短いファンファーレが鳴って、各馬が促されて所定のゲートへと収まっていきます。

ドラムンベースは、町田さんに促されると、1番枠にすんなり収まります。
ディアフレンズも、小田原騎手を背に7番枠に収まりました。

そして各馬が収まり、一斉にゲートが開きました。

小夜は、ゲートが開くと軽く手綱をしごき、先手を取りにいきます。

さほど無理する事なく、小夜は先手を取り、リードを奪いました。

小夜は『やった(^O^)v』と思いました。全く理想的な展開です。

1コーナーを回ります。各馬は縦に長い隊列を作りました。

そして2コーナーを回り、向正面に出ます。

向正面の直線に向きました。小夜は手綱をがっちりと押さえ、ペースをがくりと落とします。そして、余力を残して走らせる事に専念しました。
『うん。なんかいぃ感じね(^-^)』小夜は思います。

2番手には、小田原騎手の乗るディアフレンドが付けけました。差は2馬身。その後ろの馬は徐々に間隔が開き始めます。

レースは淡々とした流れで3コーナーを迎えました。

3コーナーを過ぎ、小夜は手綱を短く持ち替えてしごき、馬を加速し始めます。直後に控えた小田原騎手は、まだ手綱を押さえ、じっと様子を伺ってる様です。

そして、小夜はリードを保ったまま、4コーナーを回り直線へと出ました。

最後の直線へ向いて、小夜は激しく手綱をしごき、更なる加速を求めました。
ですが、スピードは鈍ってきました。小夜は鞭を左手に持ち、1回、2回と鞭を振るい、懸命に手綱をしごきます。ですが、皮肉にもスピードはますます鈍ります。

『そ、そんなぁ…(*_*)』と小夜は思いました。

やがて、直後を走っていたディアフレンドの蹄の音と馬の息遣いが近づいて来ました。

『ま、まずぃ(ーー;)』と思う小夜。それでも懸命に手綱をしごき、鞭を振るいます。ディアフレンドの青鹿毛の馬体が、鹿毛のドラムンベースに並びかけます。あと50メートル。小夜は馬の荒い息遣いを感じながら、手綱をしごき、鞭を振るって、馬を鼓舞し続けました。

そして、鹿毛と青鹿毛、2頭の馬がほほ並ぶ様にしてゴールを通過しました。



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