まだ泣き顔の少女を気遣いつつ、話しだす。
「あのさ、俺は自殺志願者じゃないけど、
ええっと、……その辺りに誰かいたぞ。」
フェンスの方を指差す。
途端、ん?と反応した。
「…もうちょっと詳しく話してくれる?」
「えっ?ああ、」
下足場を出てからの行動を出来るだけ詳細に話した。
「君が来た時には既に居なかった…と」
「そうだ」
「ん…成る程」
考え込む少女。眉間に皺が寄っている。
おちょぼ口になった口からはブツブツと独り言が漏れる。
これは長くなりそうだと、とっとと退散することにする。
「じゃ、それだけだから」
すると、今こちらの存在を思い出し、ハッとこちらを見た。
「あ、うん。情報提供ありがとう。色々ごめんね…えっと」
ああ、名前か。