* * *
拓「ただいまぁっ!!!」
慌てて家に帰ってきた拓朗の目に入ったのはいつものようにノートをひろげた聖二と平らになったベッドだった
聖「おかえり」
拓「あれ…秋は?」
さっきまで膨らんでいた布団を見つめ、尋ねたが聖二はノートから目を離さない
聖「ワン家」
拓「え?!(…この展開はなんなんだ…伸夫( ̄□ ̄;))」
聖「あいつの“ひねくれ”はどうすりゃいいん?」
拓「なんか言われたん…?」
聖「別に。ただ“聖二はお人好しやからうちを放っとけないんや”って」
拓「……なんて答えたん?」
聖「“確かにそうやな”」
拓「……それで?」
聖「“どうしたらいいん?”って言うから、そういう恋愛相談はみっきーとかにするべきちゃうって言った」
ペンを握る聖二の右手は相変わらず止まらない
そんな彼の様子に、拓朗の頭をあの考えがふと横切った
拓「…せえちゃん」
聖「…何?」
ますます不機嫌になる声。やはり彼は顔をあげない
言うべきだろうか
そんな考えが浮かぶ前にそれは拓朗の口から出ていった
拓「やっぱり秋が好きなんじゃないん?」
ようやく止まった聖二の右手
ゆっくり顔をあげた聖二の目は、ひどく冷たかった