―――拓『それで、ちゃんとワン家に着けたわけやな』
秋「うん」
リビングで、秋奈はふてくされたように光希に出されたコーヒーカップをくるくる回していた
秋「ごめんね、たく」
拓『いや、俺はいいけど』
秋「でも、たく、うちのこと心配しすぎじゃない?」
拓『そりゃお前が帰ってくるなりへこんでるから』
秋「そうじゃなくて。わざわざうちがちゃんとワン家に着いたか電話で確認するなんて…最近ちょっと心配しすぎやない?うち、小学生じゃないねんから」
拓『あー…でも、ほら!お前方向音痴やし…』
秋「ワン家なんか拓朗の家からすぐそこやん。この道くらいいい加減覚えた」
拓『で、でも東京は何かと物騒やしさ』
秋「大阪も大概だよ」
拓『でも、東京の方が人多いしさ、まあ…いいやん』
秋「ふーん」
拓『とにかく、誰にも告げんと一人で出歩いたりはすんなよ?東京はいろいろと危ないねんから』
秋「もー、大丈夫だよ。なんか拓、お父さんみたい」
拓『…ったく、人が心配してやってんのに』
秋「あはは、ごめんね、パパ」
拓『ほんまにぃ〜!お前は〜!…元気になったんか?』
秋「うん。もうグズグズしない」
拓『そうか』