―――翌朝
誰よりも早く目を覚ましたのは秋奈だった。まだ寝息をたてている光希を起こさないように部屋を出ると、なんとなく玄関に向かった。そのまま外へ出て、郵便受けを確認した。郵便物を取り出すと一枚の封筒が秋奈の手元から足元に滑り落ちた。その赤い封筒を取り上げ、秋奈は目を丸くした。
宛名にははっきり自分の名が書かれていたのだ
―――「やっと相手してくれたな」
「最近誘ってもお前、断ってばっかりだからさぁ、てっきり女の子とばっかり遊んでんだと思ってたのに、突然全員振っちゃうってどういうこと?!」
伸「ただの気まぐれだよ」
ファーストフード店で友人らに囲まれながら、伸昭はだるそうにコーラを飲んだ。朝早くから呼び出され気乗りはしなかったものの、気晴らしになるかと思い外出してしまったことを後悔した
「嘘つけ〜俺聞いたもん。お前のマンションからすげー美人のお姉さんが出ていくの見たって」
「え?俺はすげーかわいい女の子って…どういうことだよ!」
伸「黙れや」
普段は穏やかな彼の明らかに不機嫌な声に場の空気が固まった。そんな周りにはおかまいなしに伸昭は咳こんだ
「風邪?大丈夫?」
女友達の一人が心配そうに尋ねたが何も答えなかった