せっかく久々にナナミと遊べるのに、マサトはともかくケイタまで……
全然楽しくない。
ナナミとマサトは仲良く手を繋ぎながら私の数歩前を歩いていて、会話が弾んでるみたいだった。
私とケイタも会話してるけど、ケイタが話して私が相づちか一言だけ返すって感じ。
「前の2人、仲いいね」
「そーだね」
「俺らって仲いい?」
「よくないでしょ。絶対」
「じゃこれを期に仲よくなろーよ」
「嫌だ」
こんなやつと仲よくなりたくない。
私まだあの時のこと怒ってるんだからね。
思い出しただけでも、ムカついてくる。
「ユキ、ここに入っていい?」
「あ、うん」
見るとそこはアクセサリーショップだった。
アクセサリーショップっていっても、安めのとこみたい。
ナナミとマサトは2人で店内を回って、ナナミは欲しいものがあったみたいでそれをマサトにねだっていた。
私は1人店の奥で展示されているアクセサリーを見ていた。
何気なく金具に下げられているネックレスを見ていると、1つのネックレスが目に止まった。
小さなピンクのストーンをいくつも埋め込んだハートのチェーンネックレス。
「可愛いなあ……」
手にとってそれを見ていると、レジの方からナナミが私を呼ぶ声が聞こえてきた。
今度来たときに買おうかな。
私はネックレスを金具にかけ直してその方に向かう。
ナナミたちと一緒に店から出たとき、ケイタがいないことに気づいた。
あたりを見回して探しているとケイタがさっきの店の中から出てきた。
「置いてかなかないでよー」
ニコニコしながらケイタは言う。
本当は置いて行きたかったよ。まったく……
「どこ行こっか?」
「うーん。ユキは行きたいとこある?」
行きたいところはいっぱいある。
でもそれはナナミと行きたいところ。
マサトとケイタがいるからそこに行ってもつまらない。
カラオケとか買い物とか楽しみにしてたのに。
「歩きながら考えよーか」
「そーだね」
マサトとナナミはまた手を繋いで私の数歩前を行く。
私は小さくため息をついて歩きだした。