三角フラスコの中で
消化液と混ざり合う私は
狭い硝子の世界で
乱れた時間軸だけを頼りに
歩くしかなかったのです
小さな出口に憧れて
上を見つめれば
うなだれて
ため息ひとつに
悲しみひとつ
重ねて
重ねて
屠り去られるのです
次の命に憧れて
来世に咲く花のよに
慎ましくありたくて
今はただ過ぎ去る時に
熔かさるる
三角フラスコの中で
消化液と混ざり合う私は
旋律を奏で
悲しみを唄い
抒情を喰っては
狂い咲くのです
いつか消えてなくなる
この命に
今は昇華を願い
手も足も
脳も目も
泥土のように
熔け朽ち果てるまで
三角フラスコの消化液の中で
小さな斜光に憧れながら
熔けるのです
この細く拙い
乱れた時間軸は
まるで揺り篭のよに
ゆらりゆらり
私を揺らすのです
静かに
静かに
三角フラスコの中で
私を揺らすのです