『助けてほしいんだ。お願い。』
アズサは戸惑っているアキを強引に連れていって、
『とりあえずどこかの店に…。』
とノートに書いた。
アキは頷いて案内しようとしたが、半ばアズサに引っ張られる形で近くにある店を探した。
しばらく走っていると、一軒の店を発見した。
そこは、ヒロが働いている喫茶店。
アズサは叩くように扉を開けた。
「うわ!」
ヒロはびっくりして皿を落とした。
「ど…どうしたの?」
ヒロが尋ねると、
「私の親が…柴山に殺されたんだ…。」
「え…」
ヒロはもう一枚皿を落とした。さすがに店長に怒られていたが、今はそれどころではない。
「お願い…かくまって…。」
アズサは頭を下げた。
「い…いいけど…、何でアキちゃんも?」
『え…えーと…』
アキはノートに書こうとしたが、アズサに説明されてしまった。
「アキと偶然会って、助けてもらった。」
アキは頷いた。
「そ…そう。まず座ろう。」
夜9時。ヒロが働いている喫茶店は閉店した。
「ね…ねぇ、警察呼ぶ?」アズサは首を横に振った。「…何で?」
「警察を呼んで捕まったとしても、またすぐに金払って私を殺しに来るよあの人は。」
ヒロは複雑そうな顔になった。
「私…ひとりぼっちだよ。」
アズサは散々話したあげく、涙を流していた。
「独りぼっち?」
ヒロは聞き返した。