「貴方が助けてくれたの??」
「えっ!?あぁ」
「こいつの名前は空牙だよ」
いつの間にかお茶を入れ、戻って来た青海が空牙の頭を軽く叩きながら少女に言った。青海は空牙にお茶を渡して椅子に座った。
「所で君の名前は??」
「・・雛姫(ヒナキ)」
「雛姫はどうして海に??」
空牙を黙って2人の会話に耳を傾けた。
「・・海の底に沈めばやっと解放されると思ったの」
「えっ!!??」
「船から海に飛込んだの。そこまでしか覚えて無いわ」
「どうして・・」
「ミケルの首都セイバーを知ってる??」
「当たり前だろ」
「ぁたしは・・」
「何の音だっ!!??」
空牙の一言で3人は黙り込み、耳をすました。微かに遠くから何かの音が聞こえる。
「・・来たんだ」
「えっ!!??」
「奴らが来たっ!!」
雛姫は青ざめた顔をしてガタガタと振るえている。
「奴ら??・・とりあえず俺が様子を見てくる」
「駄目っ!!行っちゃ駄目っ!!無駄よっ!!殺されるだけだわ」
いきなり空牙がソファーから立ち上がった。
「殺される??何だよそれ??・・ここは俺らの島だっ!!俺らが島を守る。なら、よそ者は今の内に消えろよっ!!」
空牙は診療所から飛び出し、音の聞こえる方へと走って行った。
「空牙の事は気にするな。君はここで安静にしてなさい」
そう告げると、青海も診療所から飛び出して行った。雛姫はソファーに座ったままジッとしていた。
「無駄なんだね・・逃げても逃げても奴らはぁたしを追って来る。どうして・・??」
雛姫の瞳からは涙が溢れた。