クラスの数人がこちらを見て不思議そうな顔をしている。
私と綾川くんが話していることに驚いているといった様子だ。
「……あ、ごめんね。」
周りにDJミツルのことは内緒にしておかないといけないのに、私ったら年越しイベントの日のことをベラベラと話そうとしてしまった。
私はササッと前に向き直った。
「……や、俺はいいんだけどね…」
やっと聞き取れるほどの小声で綾川くんが私の背中に呟いた。
「…ク、クラブのことバレないようにするから学校でも綾川くんと話したいんだけど……ダメ?」
私は前を向いたまま肩越しに綾川くんに小声で言った。
「…………。」
返事がないので心配になり振り返ると、綾川くんは机に突っ伏していた。
聞こえなかったかな?と思い、もう一度言おうとすると、
「……うん。」
擦れるような声が返ってきた。
私は嬉しくて顔が赤くなったので前を向いて自分の手を頬に当てて冷やした。
これでようやく学校でも話せるようになった。
梨沙子に「やっと男子と話せるようになったと思ったら、アンタ…綾川って…。」とため息をつかれた。