それから綾川くんと学校でも話すようになった。
しかし、周りの人たちをそれをからかい、『槇原菜々子はブサイク好き』、『綾川充は槇原菜々子に催眠術をかけている』等々いろんなアホらしい噂が流れ始めた。
私たちは付き合ってるわけでもないのに、友達として話すだけでそんな風に思われる。
それに私だけを悪くいう噂ならまだ許せるが、綾川くんを悪くいう噂の方が圧倒的に多い。
綾川くんは「んー、仕方ないでしょ。」と軽く許すが私は許せなかった。
そしてイライラが最高に募った日の朝。
その噂話を一変させる出来事が起こった。
すでに朝のホームルームが始まっているが、綾川くんはまだ来ていない。
「あらら?愛しの眼鏡はまだ?」なんてチャラけた男子に言われたが無視した。
……ガラッ!
「遅れてスミマセン。」
教室の後ろのドアが開いたので、全員振り返った。
「…え、誰?」
「転校生?」
「なんか…カッコ良くない?」
クラスのみんながザワつく。
それは眼鏡を外した綾川くんだった。
担任も誰なのか分からなかったらしく、「えーと?」と困惑している。
「綾川です。登校中に中学生とぶつかって眼鏡割れたので遅れました。」