みんなの綾川くんに対する態度が180度変わった。
とくに女子たち。
綾川くんが遅刻してきた日、教室内は絶叫に近いほど黄色い声が飛びかった。
その日から休み時間になると別のクラスからも綾川くんを見に女子たちが廊下に群がる。
綾川くんがチラっと廊下を見れば、「キャー!ほんとだ!イケメン!!」と騒ぎだす。
私たちをからかっていたチャラ男たちもすっかりおとなしくなった。
私は自分だけが知っていた秘密がバレてしまい、ヤキモチで胸がモヤモヤしている。
「綾川…、あんたスゴい変身っぷりだね。」
梨沙子が廊下の女子たちを見ながら綾川くんに話しかけた。
綾川くんは苦笑いした。
「菜々子も知ってたんでしょう?何で隠してたの?」
今度は私に話しかけてくる。
私も苦笑いで答える。
「いま裸眼?」
私が話題を変えようと綾川くんに話しかける。
「いや、コンタクト。」
「じゃ早起きしなきゃだね。」
そういって二人で笑う。
「何?もう付き合ってんの?」と梨沙子が聞いてきたので二人とも首を横に振る。
「ふーん。でも菜々子は今度から気をつけないと。綾川ファンが急増してるからね。」