もともと格好良い男子が少ないこの学校。
眼鏡をかけなくなってから綾川くんのモテまくりの日々が始まった。
加えてDJしてるなんてバレたら…もっとモテるに決まってる。
綾川くんはいつも一人で本を読んでいた昼休みも、女子に呼び出されて教室にいない日が多くなった。
それにせっかく学校で話せるようになったのに、今度は話せる時間がない。
「充くん、眼鏡かけないほうがいいよー!かっこいいのにー!」
「あー、ありがと。」
「笑顔も素敵!!」
すぐ後ろの席で知らない他のクラスの女子たちと綾川くんの会話する声が嫌でも聞こえる。
『充くん』とか言ってる…
しかも綾川くんも笑顔で話してるっぽい…
私はヤキモチ焼きすぎで自己嫌悪になりそうだ。
「今日さー、カラオケ行くんだけど充くん行くぅ?」
もうヤダ…
これ以上会話を聞きたくなくて、トイレに行こうと席を立った。
「あー…、ヤダなー。」
私は頭をクシャクシャにかきまぜてトイレの鏡に映った自分を見る。
ボサついた髪にちょっと引きつった顔。
嫉妬に狂った女だ…。
指をクシ代わりにして髪を元に戻す。
「綾川くん…カラオケ行くのかなー…」
深くため息をついた。