Kiss me!*13

玲唯 2011-01-13投稿
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「今日は楽しかったね!」


 楽しかったのはナナミたちでしょ……もう。


 なんか疲れが増したような気がする。


「じゃ、私たちこっちだから」

「あ、うん。じゃーね」


 分かれ道でナナミとマサトが歩いてく。


 2人の後ろ姿を見送ったあと、私は2人とは別な道を歩き出した。


「今日、楽しかったね」


 そういえば、ケイタと帰り道一緒だった。


 ナナミと同じこと言わないでよ。


 心の中でそう毒つく。


「ユキは楽しくなかった?」


 返事を返さない私に、ケイタは顔を覗き込むようにして聞く。


「うん、全然。ってか、ナナミとマサトがいて気まずくなかった? それなのに楽しめるって凄いね」


 ちょっと皮肉っぽく言ってみる。


「ユキがいたから楽しかったよ」


 何、言ってるんだろ、この人。


 サラッと言うから、一瞬ドキッてしちゃったじゃん!


 顔に出しちゃダメ、顔に出しちゃダメ。


 こんな奴にときめいちゃダメなんだから!


「何言ってんの。バカ?」

「えー、ひどーい」


「酷くないでしょ」


 私は鼻で笑った。


「あ、そーだ! ユキにプレゼントあげる」

「え?」


 ケイタは持っていた小さな紙袋を私に差し出す。


 その紙袋には最初に立ち寄ったあのアクセサリーショップの名前がかかれていた。


「開けてみて」


 促されて、私は紙袋から細長い箱を取り出してふたを開けた。


 中に入っていたのは、私があの時見ていたネックレスだった。


 私はそれを見ると、すぐにふたを閉めて紙袋と一緒にケイタに突き出す。


「う、受け取れない」


 ケイタから貰うわけにはいかない。


 ケイタから貰いたくなかった。


「いや、貰って! 俺の気持ちだから」


 ケイタはそう言って紙袋と箱を押し返す。


 私がこれ欲しそうにしてたの見てたのかな。


 でも何だろ……嬉しい。


「……ありがと」

「絶対似合うと思うよ」


 少し、ケイタを許せるよーな気がした。




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