奈央と出会えたから。<420>再

麻呂 2011-01-17投稿
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『本日は、我が校の、秋の恒例行事であります合唱コンクールに、

たくさんの御来賓の皆様にお越し頂きまして、誠にありがとうございます。

さて、本日こちらのホールをお借りしての開催と致しました事は、

我が校創立以来、初めての試みとなる訳でありますが、

私どもの想像以上に、皆様の御好評を得る事が出来ました。

来年もぜひ、このような形で開催したいと考えております――』



いつも長く感じられる校長先生の話も、



その後に続く表彰式の事を思うと、



早く終わってほしい気持ちと、



もう少し引っ張ってくれてもいいなっていう気持ちが、



あたしの心の中で、



複雑に交差しながら、行ったり来たりしていた。



『それでは表彰式に移りたいと思います。

入賞したクラスの指揮者はステージへ――』



ドキドキドキドキ――



“1位は、どのクラスだろうね!!”



“やっぱ2年の渋川のクラスだろ?!”



“アイツら一体どれだけ練習したンよ?!”



緊張の一瞬――



どこからか聞こえて来る話し声も、



校長が、再び口を開くと同時にピタリと止んだ――



『3位。3年1組の“翼をください”』



“キャアアァァァ―――ッッ”



“なんだよ。1位じゃねぇのかよ”



3年生の先輩達の声が響き渡る――



1位と2位の発表を前に、



会場は、すぐにシーンとなった――



『2位。3年6組。

“旅立ちの日に”』



“おぉ―――っっ!!”



“2位、3位と3年か。

はたして1位はぁ〜〜〜♪”



“やっぱ2年のアイツらじゃねーの?!”



ドキドキドキドキ――



発表された2位と3位の指揮者が、ステージで表彰され、



校長に一礼して、会場の御来賓の皆様にも一礼。



そして、ステージを下りて行く。



『それでは第1位――』



力は全て出し切った。



後悔する事なんて何もないもん。



シ――――ン―ー‐



さっきまでザワついていた会場中が、



静まり返った瞬間――



あたし達、2-3のクラス全員が息を呑んだ――



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