パラレル

よーこ 2011-01-20投稿
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クジラが空中を泳いでいる。
あの腹部の白い斑点は、あれは何という名前だっただろう。
そうだ、動物学者を呼ばなければ。

「動物学者は昨日死に絶えました」

脇に控えた秘書が硬質な声で告げる。

なんたることだ。
こんな素晴らしい現象が起こっているというのに、分析する人物は誰もいないのか。
憤慨した僕は鼻の穴からコポコポと水泡を吹き出す。

「観客がおります。彼らが分析をします」

僕は海藻のような髪をたゆたせて、光の降る方を見上げる。
ガラスの檻に囲われている。
――ここは、水槽の中だ。

「では今日のご予定ですが」

秘書はそう言ってふやけたスケジュール帳を開いた。

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