「いつの間にそんな発展してたの?!」
「ち、違うってば!」
そう言いながら、私はケイタの手を振り払った。
「て、手なんて繋いだことないし! ば、ばーか!」
私はケイタを睨みつけて、走ってその場から立ち去った。
*
何でだろう。
ちょっとの間握られただけなのに、まだケイタの手の感触が残ってる。
私は屋上の戸に背中を預けて、ケイタに握られた手を見た。
嫌いな奴なはずなのに、ムカつく奴なはずなのに、何でこんなにドキドキしてるの?
可愛いって言われたとき、ネックレスくれたとき、どうして嬉しくなったの?
これって、ケイタのこと好きだから?
「違う違う」
そんなわけないよ。うん。
「何であんな奴のこと……」
あー!
もう考えるの止めよう。
やっぱり外そーかな、これ。
ネックレスを外そうと両手を後ろにのばした時、背にしていた屋上の戸が開いて、私は驚いてその場から離れた。
「あ、ここにいたんだ」
現れたのはケイタだった。
私は慌ててネックレスを襟の影に隠す。
「今、何隠したの?」
「な、何でもないよ!」
うわっ……見られてた。
「もしかして、俺があげたネックレス?」
これは、正直に言った方がいいのかな……。
「そ、そーだけど?」
「つけてくれたんだ! 嬉しいなあ。見せて見せて」
ケイタがそう言いながら近づいてきて、私はネックレスを手のひらに乗せて見せた。
「やっぱ似合うね」
私の心臓が小さく跳ねた。
赤くなってる顔を見られたくなくて、私は下を向いてネックレスを襟の影に戻した。
「あ、予鈴だ」
予鈴を聞いて、ケイタは屋上の戸に手をかけて戸を開けた。
「ユキ、行こ!」
「あ、うん」
ケイタに促されて、私は屋上から出て教室に向かった。
何でこんなにドキドキしてるんだろ……。
これはやっぱり、ケイタのことが好きだから?