第一話 遺族の声
謎の男女が吉元夫婦に声をかけてきた。
「すいません、地元の型ですか?」
男の方が先に話した。
「いえ、猫空から来た者です」
明が答えた。
「すいませんでした。」男が明等に謝る。
「何かお探しで?」
知加江が男に尋ねる。
「実は、私達は日本からこの地で戦死した旧日本兵の遺骨を収集しに来たんです」
男は碧原慶太(みどりはらけいた)、女は碧原正美(みどりはらまさみ)と名乗った。
夫婦だという。
四人は近くのベンチに座り話をしていた。
「私の祖父と夫の母の従兄もこの地で眠っていまして」
正美が明等に語った。
「玉砕地ですから遺骨は戻らず、帰ってきたのはこの島の石だったそうです」
慶太は母から聞いた話を語った。
「成る程、それで日本からニューブリテン島に」
明は納得した。
「ところで、吉元さん達はわざわざ猫空から何を?」
正美がそれを言った時、明と知加江の耳にこの世の人では無い声が聞こえた。
「この声だ!」
第二話に続く。