「ザイラス!まだ終わってない!情けなど要らぬ!」
リシュアは大声で叫ぶが、羽音にかき消され届かない。
『焦らずともよい…そなたがその剣を手放さぬ限り、時がくればそなたと戦うこととなろう。予は逃げも隠れもせぬ、ただ己の宿命に逆らっておるだけの事…予を追うもよし…その場にて時を待つもよし…そなたは己に問うがよい。』
砂埃も舞わないほどにザイラスは高い位置に上がり、地上からは鱗は見えずただ黒い塊にしか見えなかった。
そしてその姿は街の西へ、太陽を背にして飛び去った。
リシュアはすぐにでも追いかけたい気持ちで一杯だったが、周りの惨劇が気に掛かりなにより先程の攻撃で全身が思うように動かなかった。