まるで時計の針のように
一瞬だけ重なり合った
愛した貴女と私の時間
長い時は
刹那に過ぎ去り
残った心の灰は
今も風に掠われぬように
大切に包まれたまま
いつかまた
貴女の針に逢えることを願い
静かに歩みたいのに
私の針は
未だあの時の場所から
動けずにいるのです
まるで
茨の鎖に拘束されたように
手足は血を流し
痛みに怯えているのです
あと幾時
立ち止まり続ければ
心に剣を
心に盾を持てるのでしょう
暗ければ月の明かりを頼りに
雨が降れば両手を傘に
そう思う心が
酷く弱々しく
不安定のままなのです
まるで弓張りの月のように
私の躯体は半分に引き裂かれ
被わせた布切れひとつでは
とても隠しきれないのです
そんな時を刻めぬ針に
一体なにの価値がありましょうか
変わることのない時間に
一体なにを求めるのでありましょうか
傷口など無いに等しい私は
それでもなお
移り変わる時に怯え
瞼を閉じて黒を愛するのです
決して白に変わることのない
黒を愛すのです
弓張りの月のように
決して白に変わることのない
黒を愛すのです