02.
「あんまり動くなよ。まったく……」
女は大きなため息をついてケイゴを抱き上げると、そのままベッドに座らせた。
「腹へったろ?」
すると女の後ろから先ほどの金髪の少女が出てきて、持っていたお盆を突き出す。
お盆には2つのパンとスープが乗っていて、それを見たケイゴの喉が鳴る。
「食えよ」
女に促され、ケイゴはパンを手にとって一口かじった。
幾日も何も食べていなかったケイゴにとって、今まで何気なく食べていたパンがとても美味く感じられた。
あっという間にパンを食べ終え、スープを一気に飲み干す。
5分もかからないうちに完食し、よほどお腹が空いていたのかと女と少女は驚いていた。
ケイゴがスープの皿をお盆に戻すと、少女はそれを持って部屋から出て行った。
「お前、名前は?」
「……ケイゴ」
ケイゴがそう答えると、女はドアに歩み寄って振り返った。
「俺はリュウカだ。じゃ今日はゆっくり休め」
女、リュウカが部屋を出ると、ケイゴはベッドに横になって目を閉じた。
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ケイゴが目を覚ますと、視界の端に金髪の少女の姿があった。
少女は無言で、手に持っていたお盆をケイゴに向けて突き出す。
「これ、ご飯」
「……ありがとう」
起きあがってお盆を受け取ると、少女は早口で話しだした。
「洗面所は部屋を出て右よ。あとこれ、着替え。着替えたら部屋を出て突き当たりの部屋に来て」
「う、うん。……ねえ、それよりここはどこなの?」
「さあ。私も聞きたいの。昨日ここに来たばかりだから、何も知らない」
「そう、なんだ……」
「とにかく早く準備して」
少女はそう言うと部屋を出て行こうとした。
「あ、名前なんていうの?」
「レイよ。あなたは?」
「俺はケイゴ」
「そう。じゃあね」
少女、レイはそう言うとドアを開け部屋を出て行った。
ケイゴは朝食を済ますと、受け取った袋から服を取り出して着替え、部屋をでて洗面所に向かった。