―――ち「翼は?!どうやった?!」
拓朗達が伸昭の家に帰ると真っ先にちひろが訊いた
拓「ああ…まあ元気だよ。大丈夫」
ち「ほんまに?」
拓「なんか俺もようわからんけどまだあいつには右手がある感覚があるらしくて…信じられへんって笑ってたよ」
ちひろをなだめながら2人が部屋に入ると、ベッドの上で今朝よりだるそうな表情で折り紙をおる伸昭、そのベッドの傍で同じく鶴をおる秋奈がいた
拓「何してんの?」
秋「鶴おってる」
聖「そりゃ見ればわかるけど(-_-;)」
秋「うん…聖二、ごめんね。今日は言い過ぎた。見守るのも優しさかもね。…でも、せめてこれくらいはしたいの。何もできないけど、うちらがどれだけ翼のこと、想ってるか伝えたいねん。…今、この鶴が翼にとって何の力にもなれなくても、いつかでいいから、何かの糧になってくれれば…」
秋奈は顔もあげず、作業を続けながら言った
聖「うん…そうやな。…俺もきつく言い過ぎた。ごめん」
その言葉にようやく顔をあげた秋奈は笑っていた。
その笑顔に聖二も微笑むと、秋奈の隣に腰を下ろし、折り紙を1枚手にとった
そんな2人の様子を拓朗は黙って見下ろし、一方伸昭は嬉しそうに笑う秋奈を微笑ましげに眺めていた