それから俺らはよく2人で帰り会話もするようになった
ただ、同級生や知り合いが居る校内ではどちらが言い出したわけでもなく他人のように振る舞うことが決まりとなっていた
秋奈は相変わらず常に笑顔で“いい子”を演じていたし、俺も相変わらずそのことには触れなかったけど、廊下ですれ違えば誰にも気付かれないようにこっそり舌を出したり俺に向かって変顔をする。それからたまにこっそり俺に人差し指を上にむけ合図することもあった。それが彼女からの“屋上へ”の合図だった
「もー何?」
その日も彼女に呼び出された俺は誰もいない屋上にやってきた
「何でそんなに不機嫌なんー?」
「だって最近昼休みの度に俺が消えるから友達が疑うねんもん。言い訳すんのが大変やねんてば」
「あらそう。」
「わがまま娘め」
「ふふふっ」
「で?今日は何?」
「んー」
「何?また特に用なし?」
「だって、ずっといい子で居んのも疲れるんやもん。聖二なら何でも言えるし」
「俺はお前のストレスの捌け口か」
皆の前でも“自分”を出せばいいやん
そう言いかけてやめた。そんな必要はないと感じたから。それがどうしてかわからなかったけど