あれから、秋奈からはいろんな恋の話を聞いた。はっきりと本人の口から聞くことはなかったけど、どれも最後には結局うまくいかなかったことだけは俺にもわかった
そのたびに俺はほっとして、唯一自分だけが秋奈を励ましてやれることに優越と満足を感じて…そんな認めざるをえない感情に振り回されて、自分を責めた
何度も何度も奥底に沈めた
そのまま俺らは同じ高校へ進学した。2人とも部活には入らず、たまに帰りに会うくらいで前より話さなくなった。そして、俺の矛盾した感情も少しずつ、忘れたように穏やかに静かになっていった。そんな気がした
でも、あの日、バンドに誘われた時、乗り気じゃなかった俺は真っ先に秋奈に声をかけてしまった
見かけるたび、毎日笑顔を見せながらもつまらなさそうな彼女をほっとけなかったのかもしれない。それか、もしくは…
あの日のことを俺は後悔してるかもしれない。いや、あの卒業式の日に俺が無理にでも山岡のもとに連れて行っていればもっと早くに俺はこの感情から解放されていたかもしれない。その前にあの日、忘れ物を取りに戻らなければ…
消えない感情を抱いたまま、月日流れた