sound of you 60

フラン子 2011-02-05投稿
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「…ごめっ…、なんか…勝手に想像してたら…」

ポロポロと頬を流れる涙を手の平で横に拭う。
それでも間に合わずにカウンターのテーブルに涙が落ちた。

私の頭の中の中学生の綾川くんが愛しくて堪らなかった。

誰も家には居なくて、そんな家に帰りたくなくて行く場所もなく毎晩街をウロウロして、流れ着いた所がこの店の前…。


また涙が出そうになったのでココアを飲んで深呼吸した。


気付くとすぐ隣の椅子に綾川くんが座っていた。
カウンターに背を向けて逆向きに座っている。

「…………。」

泣いた私に呆れたのか無言の綾川くん。



…………ギュ


一瞬よく分からなかったが、どうやら綾川くんの腕が私の首周りを囲っている。

私の肩に頭をうずめてきた。

「…槇原さん、優しい。」

私は真っ白になった頭を横に振った。

「……あー…、これ離れないとダメかな?」

私はまた頭を横に振った。

ちょっと驚いたのか結局綾川くんは離れてしまった。

私が恥ずかしくて俯いていた。

「槇原さん、こっち向いて」

綾川くんの方を向くと、すごく優しい顔をして笑っている。

この笑顔…大好き。

ボーっと綾川くんの顔を眺めていると、段々視界いっぱいに少し顔を傾けた綾川くんが広がり始めた。

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