食器を洗ってる時、さっきのケイタの言葉が頭の中を何度も巡った。
あの部屋に、2人きり……。
いや、何考えてんの私!
「バカじゃないの……」
ケイタにじゃなくて、自分に向けての言葉。
食器洗い終わったら帰ろう。
そう決心して、私は部屋に戻った。
*
部屋に戻るとケイタは寝ていた。
コップに入ってる水の減り具合から、ちゃんと薬飲んだことが分かる。
布団から出てる腕を中に入れて布団をかけてあげた時、ケイタの寝顔が見えてしばらくの間見ていた。
するといきなり布団の中から出てきた手に腕を掴まれて引き寄せられたかと思うと、私とケイタの唇が触れあっていた。
唇が離れたとき、ケイタはにっこりと笑みを向ける。
まさか、寝たふりしてた?
「ば、ばーか!」
私はカバンを引っ付かんで部屋を出て、階段を駆け下りた。
またいきなりキスされた。
「何なの、アイツ!」
前に、もういきなりしないからとか言ってなかったっけ?!
それを信じてたわけじゃないけどさ!
これで2回目だよ、2回目!
しかも寝たふりまでしてさ!
ムカつく、けど……。
何でだろ。
いきなりキスされたのに、全然いやじゃない。
おかしいよ、私。
次の日から私は風邪をひいてしばらく寝込んだ。
絶対ケイタにうつされたんだと思う。