―――こんなところにいたの?
やっと見つけた、そう言って彼は手を差し出し笑った。その手を私が握ったら、強く握り返してくれた。
そんな夢を見た―――
秋奈が目を覚ますと、聖二の姿はなく、昨日千羽とまではいかなかったもののなんとか折った数百羽の鶴が丁寧に全て繋げられていて、書き置きがあった。
拓「おはよ」
少ししてから拓朗が起きて、台所にやってきた
拓「ごめん、昨日いつの間にか寝ちゃってて…」
秋「うちも寝ちゃってた。鶴なら聖二が仕上げてくれたみたい」
拓「ああ…そう…あれ?そういえば、せえちゃんは?」
秋「ワン家におるって。書き置きがあった。朝ご飯食べたら聖二と翼のとこ、行ってくるよ」
拓「じゃあ俺も…」
秋「拓は休みなよ。最近疲れてそうやし」
拓「…」
秋「…ごめんね、翼があんな時にうちまで心配かけて…」
拓「…いや、ええよ」
2人は伸昭達を起こさないように静かに朝食をすませた。用意をし出て行こうとする秋奈を拓朗は玄関まで見送りに来たが、ある迷いが浮かんでいた
そして、気付いた時には“秋奈”と声に出してしまっていた
秋「ん?」
拓「こんなこと、俺が言うのはせえちゃんは気に入らんやろうけど…」