その日
担任の口から山本が死んだことが告げられた。
修学旅行を1ヶ月後に控えてのことだった。
山本は、他校の友人が運転するバイクの後部座席に座っていて、交差点で無茶をして横から来た乗用車にバイクごと撥ね飛ばされた、と担任は説明し
「山本は、即死だったらしい…」
と僕らに言い聞かせるかのように、小さく、しかしはっきりとした声で付け加えた。
他校の友人も搬送先の病院で亡くなった、と言いかけて
「車の運転のヤツをぶっ殺してやる!!」
と1人の男子が遮るように叫び
そうだ!
ぜってぇ許さねぇ!
と他の男子達が続いた。
女子のほとんどは嗚咽を漏らしながら泣きじゃくり、中には大声を出して泣く人もいた。
それほど彼を、仲間を僕らは愛していた。
誰に過失があった事故なのか。そんなことなど考えず、仲間を奪われた怒りと悲しみで行動することができる。
まだ僕らは若く、感情的で、不安定だった。
不条理を受け入れる術を知らない。
だが、
「純一!お前も運転手のとこに行くよな!!」
と自分の名前を呼ばれたとき
正直、僕は戸惑った。
不条理を受け入れる術を知りつつあったから
僕は戸惑った。