担任が、取り乱した僕らをいくらなだめるも収まる気配はなく
ついには
「いい加減にしろ!!」
と黒板を殴り大声で怒鳴り付けることで
ようやく教室は静まった。
帰りのホームルームが終わるまで、僕は誰とも口を利かなかった。
人と話す気になれなかったというのもあるが、ゆっくりと事実を頭に染み込ませ、現実を理解したいという気持ちがあった。
そうすることで早いうちに気持ちの整理ができるということを僕は知っている。
そんな作業を意図的にしなければ僕の心は耐えられない。
感情に任せることなく、冷静に、機械的に行わなければならない。
もしもさぼったりしたらだよ?
あなた心はぐちゃぐちゃに押し潰され
汁をしたたらせながら腐ってゆき
やがて溶けてなくなってしまって
ただ目をあけているだけの
とても生きているとは言えない
無価値な人間になってしまうわ
えぇ、必ずなってしまうわ
そう彼女が僕に言った
『川上 水穂』
(かわかみ みずほ)
僕の初めての人で
一緒に死んだ人で
心の底から
愛している人です