「今日帰り遅くなるから、御飯外で済ませてくるから。」
「うん、わかった。愛ちゃんと先に寝てるかも」
由美子は優しい声で答えた。
その日の夕方、初めて彼女と待ち合わせをした。 「吉澤さんのこと好きですよ…」
あの日からその言葉が頭から離れなかった。
「好き」=「Like」そう思いながらも食事に誘ったら、彼女はすごく嬉しそうにはしゃいでみせた。
「お待たせ」 実際には5分ほどだろうが、とてつもなく長く感じた時間を彼女の笑顔が打ち消した。
食事をして映画を観て…そんな普通のデートが、高校生に戻ったように新鮮で、少し手が触れただけで心臓がドキドキするのがわかった。
初めてのデートで初めて名前を聞いて、次はいつ会えるか約束して。
少し照れ臭い自分に可笑しくなって一人クスッと笑ったら、それを見て彼女も笑っていた。
「お母さんに見つかると色々うるさいから、」 そう言う彼女を家から少し離れた所で車から降ろし、彼女が運転席側に回ってきて、
「楽しかった。次は2週間後だね」と少し淋しそうに言った。
その表情が愛おしくて、彼女の頬に手を伸ばしてそっと唇にキスをした。
「やっぱりそうくると思った」と恥ずかしそうに照れ笑いをした彼女は、
「お返し」と言って僕に軽くキスをして、「おやすみなさい」と走って行った。
白石優子 26歳
僕と同い年の、まるで少女のような彼女と、僕は恋におちた。