「私は別の場所を回る。それまでには片付けておけ。」
「……ああ。」
無愛想な返事で、龍一は答えた。
「もう一つ」
ヴォン!
咲坂はエンジンをかけなおしながら言った。
「次に会った時は、『隊長』と呼ぶように。」
ヴォン!
ヴォ−−−−−−・・・
一言残して、バイクは闇へと溶けていった。
「‥‥知るか‥‥」
龍一は、銃とナイフをベルトに装着させると、正面玄関へとまた足を運んだ。
(彩握高校‥‥『サイコー』か‥‥初めて見た‥‥)同じ都内に住む高校生として、龍一も『彩握』の名は耳にしていた。
「今殺してやるから待っとけ‥‥『マウス』‥‥」
ドカァッ!!
龍一は玄関を蹴破った。
============1階・廊下
(どこだ‥‥どこにいやがる‥‥!)
にっくき白い巨体を、非常灯さえない暗闇の中、月明かりを頼りに探す。
教室を一つ一つ見て回るが、まだ、標的は見つからなかった。
「くっそぉっ!!」
ガッ!
コンクリの床を蹴る。少し、えぐれた。
「俺はここにいるぞぉ!!さっさと出てきやがれ!!」
バァンッ!バァンッ!
意味もなく、廊下の天井に二発打ち込んだ。
……………
ヒュー‥‥‥ヒュー‥‥‥ヒタ‥‥ヒタ‥‥