ホテルの部屋に入る。
食事は外の店で済ませてきた。
彼女は何でもいいと言ったが、
「せっかく京都に来たんだから…」と、豆腐懐石の店に入った。
チェックインの際に、僕の氏名に続けて「優子」と名前だけ書いたのがよほど照れ臭かったか、それとも食事の時に乾杯したお酒のせいなのか、彼女は部屋に入ってからも俯き頬を赤らめたままだった。
殺風景な部屋だった。ベッドとテレビ、他には簡単なドレッサーがあるだけ。
「ごめんね、こんなホテルしか取れなくて」
「ううん…」
彼女は緊張した面持ちで、それ以上の言葉は言わずに、ベッドの縁に腰掛けて大きく息をはいた。
僕も隣に座る。
しばらくすると、
「何か酔っ払っちゃったなぁ…」と、彼女が僕の肩にもたれ掛かり、僕は何も答えずに口唇を重ねた。
少し恥ずかしそうに、
「先にお風呂入ってくるね」と言って僕の腕から彼女はスルリと逃げた。
「覗いちゃだめだぞぉ〜!!」
悪戯っぽくウィンクする彼女を、あらためて可愛いと感じた。
お風呂からあがって髪をアップに束ねた彼女は、昼間の少女とはまるで別人のように僕の心を刺激した。
彼女に続いて僕もシャワーを浴びる。胸の鼓動が浴室の外の彼女にまで聴こえるんじゃないかと思うくらいドキドキしている。
彼女はホテルのガウンを纏ったまま、先にベッドに横になっていた。
本当に酔っていたみたいで、少しウトウトしていた。
おでこにキスをすると彼女は気付き
「ゴメン!! ついウトウト…」
そう言いかけた彼女の口唇を塞ぐように、僕は彼女を抱きしめた。