――病院
拓(秋の奴、昨日また泣いて帰ってきたらしいし…やっぱ、あかんかったかな)
その頃、拓朗は一人ため息をもらしながら翼の病室を目指していた
翼の病室は廊下の一番端にあり人通りも少ない。その傍まできて病室の前に誰かがしゃがみこんでいるのを見つけた
拓「…美弥…?!…おい、美弥!」
すぐにそれが美弥だと気づき、拓朗が駆け寄ると美弥は震えながら泣いていた
拓「おい、美弥!どうしてん?!」
美「うぅっ…たく…」
美弥は泣いて下を向いたまま、首を横に振った。その時だった。病室の中からほとんど叫び声に近い怒鳴り声と何かが落ちる音がした
拓「…翼…?」
美「…たくろぉ…」
拓「…?」
美「…ぐすっ…うちは…うちはどうしたらいい…?」
拓「…美弥…」
美「あいつの…救い方が…わからへんの…なあ…うちは…どうしたらいい……何もできひんのっ…!」
大声をあげて泣く美弥。拓朗はどうしようもなく、子どものように泣く美弥を抱きしめた
拓「美弥…!…そんなことない…そんなことないから……お前はあいつの傍に居てやって…それだけで充分やから…」
拓朗の頭にいつも隣で聞いていた翼のギターが響いた