「カズヒロ、家まで送っていきなさい。」
アキラはカズヒロに伝えた。
「分かった。」
「どうだった?俺の親は。」
カズヒロは帰り途中のアキに聞いてみた。
『耳が聞こえないことを認めてくれて、すごく嬉しかった。本当に優しい親だなあって思ったよ。』
「俺も若干心配だったなぁ〜。雰囲気で分かったでしょ?すげぇ話しづらかったもん。」
『でも、結果が良かったからね。』
しばらく歩くと、雪が強くなってきた。
「こりゃあたくさん積もるな。」
『カズヒロ、ここまででいいよ。』
アキは、これ以上雪の中カズヒロに送ってもらうのは申し訳ないと思い気遣った。
「うん…気をつけて…。」
『そっちこそ…。』
何だ。このなんか言い残した感。
遠くなっていくアキの姿を、カズヒロは追い掛けた。
「アキ!」
『?』
「あの…さ…。」
カズヒロが急に照れ始めたので、アキも少し戸惑った。
『どうしたの?』
「東京行かない?…じゃあ…27日。」
『東京…?』
カズヒロは頷いた。
「ほら、俺達…まだデートしてないから…なっ?」
初デートの誘いだった。
『うん。行こう!東京。』
アキも楽しみにその日を待ちたいって思った。